◆第3回(企業の順応性という課題)
弊社ではIT投資の効果を享受するために、組織能力を強化するための投資にも力を入れていただきたいと考え、活動しております。これは、先行研究においても、また弊社にて実施した検証においても実証されているためです(内容は本ブログの第2回をご参照下さい)。
ここには、私自身が痛感している強い課題意識が絡んでいます。それは、日本は多くのデジタル技術で世界をリードしているにも関わらず、「企業の順応性」が低いために、DX(デジタルトランスフォーメーション)の過程で得られるメリットが低減されているという認識です。
2019年のIMDの世界競争⼒ランキングで、⽇本は起業家精神と企業の順応性の2つが63カ国中、最下位でした。アフリカ諸国より下位です。厳密にいうと⽇本は極めて進んだ国で、世界をリードする分野も多くある。しかし変化に対する順応性、つまり組織⽂化の変えやすさやそのスピードを考えると、かなり問題が多いという結果でした。
DX(同)研究の世界的権威であるIMD教授兼DBTセンター所⻑のマイケル・ウェイド氏はこうした点を日経ビジネスの特集記事(世界の最新経営論 2019年11月22に号)の中で、『(日本企業の)中間管理職は、コンクリートのように硬くて重く、容易に動かせない。ハードワーカーと⾔えば聞こえはいいが、新しいことに後ろ向きで、俊敏に動きたがらない。⽇本のデジタル改⾰では、抵抗する中間管理職が最⼤の障壁だといえる』と表現されています。
弊社では、このブログでご説明してきた組織IQによる測定を起点に、日本流の事情にアレンジした組織能力強化の取り組みをご支援していくことで、上記の”本質的な課題”を解決していきたいと考えております。