◆第51回(DXのX=Transformation)

DXという言葉が日々さまざまなメディアで発信されています。言わずもがな、D:Digitizationに伴うX:Transformationを意味しています。但し、DはIT化に関する予算を見ても着実に進んでいるものの、X(構造や組織などの変革)がうまく進んでいないと感じています。

この結果、本来得られるべき効果が抑えられている。加えて、次世代に向けた変化・進化が遅れている。そう感じています。

大きな理由の1つに、「組織のもつれ」の深さ・複雑さがあります。

既存組織によって長い年月をかけて形成されてきた多様な資源や制度は複雑に絡み合っているため、DXの後者である「X:Transformation」の推進に必要となる構造や組織の変更が、他の領域に与える影響を見定めづらいためです。 国際経営開発研究所(IMD)のIMDグローバルセンターが、この点をうまく整理しています。縦軸に「組織のもつれ」を、横軸に「変革の程度」をとった下の図です。

<図> DXの対象領域

IT化に伴う変革の必要性は昔から言われてきましたが、それは「チェンジマネジメント」にて対応していく範囲・程度でした。チェンジマネジメントとは、簡単に言うと、新たな業務に対応するための組織体制の見直しや、そのためのユーザ教育などを指しています。

しかし図にある通り、DXはその域を超えた取り組みだと認識し、そのためには(組織の)オーケストレーションが必要だと論じたものです(ここでは、このオーケストレーションに関する説明は割愛させて頂きます)。

日本だけの課題ではなく世界中の企業における課題として、認識されています。いずれにしても、Dと同時に推進すべきXへの対応がとても重要な課題だと捉えられています。

弊社ではこの部分を突破すべく、「これからの組織づくり」に向けた各種サービスをご提供しており、そのファーストステップとして、まずは自らの組織の特性を把握するための「組織特性診断サービス」をご提供しています。

下の図は、弊社で200社を対象に実施した調査結果です。組織特性によって「閉ざされた組織」と「開かれた組織」に分類したものです。

<図> 組織特性 × IT投資効果

ポイントだけご説明すると、閉ざされた組織の場合、いくらDを進めても得られる効果が少ない。むしろマイナスに機能する(反比例)傾向がある。逆に組織特性として開かれた組織の場合、Dの推進に比例した効果が得られる、というものです。

DXのD、すなわちIT投資と並行して、DXのX、すなわち組織などの変革が重要なことを裏付けたものです。

この組織特性の診断では、5つの診断指標を用いており、強みと弱みを可視化します。感覚的に感じている部分を定量的に可視化するメリットは、課題認識が組織的に共有される点です。

また見直し対象を、大きく「仕組み」、「組織・制度」、「風土・マインド」に分けて考えます。これは、効果創出までに必要な期間が大きく異なってくるためです。特に「風土・マインド」の見直しには期間を要するため、粘り強く継続していく必要があります。

下の図は診断結果に基づき、見直し対象ごとに行う対策(例)を整理したものです。

<図> 特性・対象に応じた対策例

 まとめると、情報技術は進化とともに、その適用領域を拡大し続けており、位置づけも重みも増加の一途を辿っている。それを取り扱い効果的に活用するためには、Dへの投資と並行して、従来の構造や組織、ひいては人のマインドにも目を向け適切な対策を行う必要がある。そう強く感じています。

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